円満退職のために…知っておきたい退職時の引継ぎの流れと注意点

転職活動が実を結び、新しい職場が決まったら、さっそく入社に向けて現職の退職などの準備を進めていかなければなりません。

退職時に必ずやらなければならないのが、後任者への業務の引継ぎです。この引継ぎ次第で、退職者に対する周囲の印象というのは少なからず変わってくるものです。

そんな退職時の引継ぎの基本的な流れと注意点について、ここでは解説していきましょう。

事前準備が重要!引継ぎの基本の流れとコツ

退職時の引継ぎはたいていの場合、以下のような流れになります。

①引継ぎの事前準備

②社内での後任者への引継ぎ

③社外での引継ぎ(必要な場合のみ)

引継ぎをスムーズに進めていくためには、事前準備がとても重要になります。

まずは、引継ぎが必要な業務を洗い出し、引継ぎのスケジュールや必要な期間をあらかじめある程度は想定しておきましょう。業務の量や職場の状況にもよりますが、目安としては少なくとも1か月くらいは引継ぎ期間を設けるものと考えてください。

そのうえで、上司や後任者などの引継ぎに直接関係のある人とはしっかりとスケジュールのすり合わせをしておきましょう。

特に営業職などの社外の取引先への引継ぎも必要になる職種の場合は、十分に余裕をもってスケジュールを組んでおきたいところです。この部分をおろそかにすると、後任者や周囲の人が困るだけでなく、外部の取引先との信頼関係にもかかわる事態になります。

効率アップ間違いなし!引継ぎマニュアル作成のススメ

転職先への入社日の兼ね合いも考えると、引継ぎに割ける期間というのはどうしても限られてきてしまいます。その短い期間中に必要なことを全部伝えるのは難しいというケースもあるでしょう。

また、職場の状況によっては、スムーズに後任が決まらず、なかなか引継ぎが始められないということもあるかもしれません。

そんな時に、トラブルを避けるためにおすすめしたいのが、引継ぎ内容の要点をまとめたマニュアル書のようなものを作成しておくことです。

このマニュアル書がきちんと必要なポイントをおさえたものになっていれば、口頭で伝えるのみの場合よりも格段に効率よく引継ぎを行うことができるでしょう。

業務が多かったり、伝える内容が複雑だと、マニュアルの作成に思いがけず時間がかかってしまうこともあります。

転職先が決まったらすぐにマニュアル作成に取り掛かることができるよう、引き継ぐべき業務のリストアップなどの準備は、転職活動と並行して進めておくとよいかもしれません。

まさか本当に!?引継ぎ不足で訴えられることってあり得る?

引継ぎが不十分だと、退職の延期を求められたり、退職しても後任者から何度も連絡が来たりと、困った事態を引き起こしがちです。

退職時の会社の状況次第では『引継ぎをきちんとしていかないと訴えるぞ!』などと言われてしまった事例もあります。

では、本当の引継ぎが不十分だったことで会社から訴えられるということはあり得るのでしょうか?

結論から言えば、引継ぎ不十分により損害賠償請求をされる可能性は皆無とは言えません。ただし、損害賠償請求が認められて会社にお金を支払わなければならなくなるということは、ほとんどあり得ないと言ってよいでしょう。

会社によっては、就業規則の中に引継ぎに関する項目が含まれていることがあります。その場合、引継ぎは退職する社員の義務となるわけです。

となると、引継ぎが不十分な場合には、それによって業務が円滑に遂行されず会社に損害を与えたとして、損害賠償請求を行う根拠になってしまう可能性があります。

とはいえ、実際には《不十分な引継ぎ》という定義はひどくあいまいであり、どのような状態が該当することになるのかの判断は容易ではありません。

一切引継ぎを行わないまま退職してしまったり、わざと業務に関する重要な情報を隠すなどの悪質な行為がない限りは、訴えを起こすこと自体が難しいでしょう。仮に訴えられたところで、損害賠償が認められるということもめったにありません。

それに加えて、訴訟を起こすにはそれなりの手間と費用がかかることを考えると、実際に引継ぎが不十分なことが原因で損害賠償請求をされるというリスクはかなり低いものです。

基本的には、その状況下で自分ができる範囲の引継ぎをしっかりとしておけば、問題はないと考えてよいでしょう。

立つ鳥跡を濁さず!引継ぎが円満退職のカギを握る

転職先が決まって退職するとなると、どうしても次の職場のことに意識がいってしまいがちです。

しかし、引継ぎがしっかりできていないと、思いがけず退職時にわだかまりを残してしまうことにもなりかねません。

今までお世話になった会社を晴れ晴れとした気持ちで去ることができるように、引継ぎのこともきちんと考慮に入れて退職へのスケジュールを組んでいきましょう。